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『ナイストライ』 〜研修の現場から〜

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授業参観の思い出

 

小学生の頃、授業参観の日には、先生も気合が入っていて、「せっかくお母さんが授業を見に来てくれるのだから、全員に手を挙げて欲しい」と知恵を絞り、先生の質問に対して、自信を持って答えられる子は、パーで手を挙げる。ちょっと自信のない子は「チョキ」、全く自信のない子は「グー」で手を挙げることに決まった。もちろん、先生は「パー」で手を挙げた子だけ、指名して答えさせた。

 

勉強が苦手だった私は、日頃手を挙げて発言することがなかったので、この時も「グー」で手を挙げたが、それでも、いつもよりも積極的に授業に参加できることが嬉しかった。

 

授業参観に訪れた親たちは、グー・チョキ・パーのカラクリに気づいていたかもしれないが、自分の子供が元気に手を挙げる姿が誇らしかったに違いない。

 

 

いくつ年齢を重ねても、多勢の前で発言をするのは勇気がいる。

 

楽しく・真剣に

 

ここ数年、企業研修に伺う機会が増えてきた。

社内外のコミュニケーション研修や非言語コミュニケーション研修、そして新人研修・・・。

 

こうした研修には、自ら進んで参加する方は珍しく、会社から参加させられている方々がほとんど。

新入社員研修や新人スタッフ研修となると、20歳前後の方が、右も左もわからないまま緊張の面持ちで参加する。

 

私は、講師が一人で話すスタイルの研修は苦手で参加型の研修にしたい。

すべての受講生に、何かしら一言でも発して欲しいと思っている。

そして受講生の、緊張して固まった顔から、白い歯をのぞかせたいと思っている。

 

日本の社会では「真面目に」「一生懸命に」取り組むことが奨励されているが、あるパフォーマンス学の先生によると、人間は「楽しく」「真剣に」物事に取り組む精神状態が、一番パフォーマンスが上がるのだそうだ。

 

パフォーマンスというのは、歌ったり踊ったりだけでなく、スポーツでも勉強でも仕事でも同じ、『その人の能力が最大限に発揮できる』精神状態が「楽しく」「真剣に」物事に取り組んだ時だそうだ。

 

ということで、「参加させられている研修」でも、『楽しく真剣に』参加してもらえるよう幾つかの工夫をしている。

 

その一つが「ナイストライ!」

 

ナイストライ!!

 

私が、全員に対して問題を出した時、積極的に手を挙げる方もいれば、講師と目も合わせない方もいる。

はじめは、手を挙げた方を指名するが、すぐに、同じ人ばかりになってしまうので、指名制に変える。

当然、受講生は緊張をするが、一生懸命に正解を導き出そうと考えてくれる。

 

そして、多くの答えは『不正解』であることが多い。

 

そこで私は、不正解を答えた方に、大きな明るい声で「ナイストライ」と声をかける。

 

初「ナイストライ」宣言をした後に、私はこう続ける。

「私がナイストライという時は、『正解ではないけれど、答えてくれてありがとう』という意味です。私は、こうして皆さんに問題を出しますが、正解を期待して、質問しているわけではありません。もしも、皆さんが正解できたら、今日、こんなに時間を使って研修に参加をする必要はないはずです。大切なのは、『正解はこれかな?』と脳みそをフル回転させて考えることです。正解を出すことは大切ではありません。そして、間違いから学ぶことの方が多いので、自分のためにも、他の受講者の方のためにも、堂々と間違えてください。そして沢山『ナイストライポイント』を稼いでください」と。

 

そうすると、受講者の顔つきが少し変わってくる。

なんというか、受け身の姿勢から、積極的に研修に参加しようというような、そんな意志が受講者の瞳に宿る・・・という変化が生じてくる。

 

そこで、もう一言。

「ということで、答えを間違えたからといって、叱ることはありませんが、受講の態度が悪い、例えば、やる気がなく集中していない・スマホをいじっている・眠っている・ディスカッションに参加しない・・・といった態度があれば、叱りますよ」と続けます。

 

意地悪??

 

一つ厳しいことがあるとすれば、「ナイストライ」制度(笑)にすると

「わかりません」が認められなくなるということだろうか・・・。

間違えてもいいから、いえ、むしろ間違えて欲しいから、何かしら答えてね・・・といっているものだから、「わかりません」がでると、私はしつこい。

「ん?どこがわからない?」「ここはわかる?」「じゃあ、こう考えたらどうかな?」などなど、沢山のヒントを出しながら、何かしらの発言がでるまで許さない。

もちろん答えてくれた後は、ナイストライ&ビッグスマイルを返す。

はじめは、「意地悪な講師」だと思われないかな?などと不安だったが、結局その後、より活発な発言が生まれるようになる。

 

私が目指しているのは「答えを間違えることの恐怖のハードル」をいかに低くするか?ということ。

 

社会に出ると「誰かが代わりにやってくれる」という消極的な態度や「わかりません」で逃げることができなくなる。間違えてもいいからどんどんトライすることを研修で学んで欲しい。そんな思いで私は研修に向かっている。

 

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